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今だからこそ振り返る「ビットコインキャッシュ」

In コラム
9月 27, 2017
9月 27, 2017
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はじめまして、ヨーロピアンです。

会社員をする傍ら、趣味でトレードをしたり、記事を書いたり、暗号通貨のプログラミングを楽しんだりしています。
普段はTwitter(@sen_axis)で考えを書き散らかしています。

衝撃的な「ビットコイン分裂劇」から約2ヶ月、そろそろ「ビットコインキャッシュ」なるコインが各取引所で売買されている状況にも見慣れてきましたね。
良くも悪くも、市場はすっかり受け入れてしまったと解釈して良いでしょう。市場が慣れたことで関心は他に移り、話題が減ってきたのが一つの指標となります。あれだけ大騒ぎしても慣れてしまえばこんなもの、ということでしょうか。
このタイミングで、改めて現状を俯瞰してみたいと思います。そのため、誕生前後の事情から順を追っておさらいしていくことにしましょう。

BitcoinCash 誕生直前

多くの人が憂いたBitcoinCash誕生以降の未来、それは結果的にそれは杞憂に終わりました。なんと、BitcoinCash推進主導の最有力候補と見られていたBitmain社が7/24に関係性を否定したのです。

Regarding “Bitcoin Cash”, ViaBTC and Bitcoin ABC

BitcoinCash自体はViaBTCの計画であり、Bitmain社はViaBTCに出資している立場ではあるが彼らのコントロールはできないとのこと。これを素直に受け取るなら、ViaBTCが主導でBitcoinCashを推進していたということですね。首謀者は君だったのか……。

あるいは直前でBitmain社にハシゴを外されてしまったという悲しい可能性も残されていますが、そこは想像を膨らませる余地として楽しんでおきましょう。

これに並行して、Roger氏のBitcoin.comがBitcoinCashのマイニングを支持するという表明もありましたが、当時はその真偽についても疑念がありました。(実際、分裂後もしばらくは彼らによって採掘されたブロックは確認できていませんでした。その後彼らもマイニングに参加し、現在は1〜2%ほどのブロックが彼らによって採掘されています。)
Segwit2xで合意されたビッグブロック部分が11月に成立しなければBitcoinCashに全振りするとの発言もありましたが、こちらは11月になってみなければ分からないため実現可能性は未知数といったところ。

 
Bitcoin.comの発表は市場に衝撃を与えました

こうしてBitcoinCashはその行く末に大きな不安を抱えたまま8月を迎えることになったのでした。

誕生直後の状況 

予告された8月を迎え、なんとか最初のブロックである478559がViaBTCによって21時12分頃に採掘されました。
無事ハードフォークは成功し、この世にBitcoinCash(BCH)が誕生したことになります。

しかし、いきなり問題にぶつかります。採掘が遅々として進まないのです。

僕が最初にBitcoinCashの状況を記録に残していたのが8/3の2時35分頃でした。 当時の記録を振り返ると、その時点で採掘されたブロックはわずか13ブロックだったようです。分岐からは1日と5時間23分(1763分)が経過していますから、1ブロックあたりの平均採掘時間は135.61分。つまりおよそ2時間15分に1つという遅さになります。
BitcoinCashは採掘難易度が6ブロックで最大25%調整されるような独自の変更を行っていますが、既に13ブロック採掘されているにも関わらず採掘速度はほとんど向上しませんでした。つまり、絶対的にハッシュパワーが足りなかったのです。

謎のマイナーの登場

苦しい状況に置かれていたBitcoinCashですが、その時点でブロックの78%以上を採掘した謎のマイナーの存在が発覚し、話題になりました。

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8月初頭当時、採掘の大半を占める謎のマイナー

ブロックに記載されたCoinBaseTextを見ると、Hennessy Road Wan Chai Hong Kongと記載されています。香港のマイナーのようですね。

彼らの正体について、興味深い記事がでていました。

Here’s The Trading Center In HK Where They Mined Most of the Bitcoin Cash Blocks

記事によると、

The Hong Kong miner then goes on to explain that he and “most of his friends” have already switched back to the BTC main chain. They started mining yesterday, Hong Kong time, and the miner says the operation hasn’t been profitable due to the difficulty.

なんと、お遊びと彼ら自身の宣伝のために採掘していたとのことです。また価格の割に採掘難易度が高く利益が出ないので、既にほとんどのハッシュパワーをBTCの方に戻したとのこと。

この事件を通じて、状況を見守る人々の間での不安はさらに大きなものとなっていきました。

Bitmain社の採掘参加

この記事を執筆している2017年9月現在も、BTCのマイニングにおいて最大のハッシュパワーを持つのはJihan氏率いる中国のBitmain社です。その彼らが8月中旬、突如としてBitcoinCashの採掘を始めます。彼らの運営するAntpoolでは、採掘対象にBitcoinCashが選択できるようになったことが発表されました。
Bitmain社は間違いなくキーとなる存在でした。市場の一部では、BitcoinCashの誕生前に彼らが関係性を否定した際にはBitcoinCashの未来に暗雲が立ち込めたと噂されていたほどです。

しかし結果的にその未来予想は誤りとなりました。当時のBitcoinCashは期待先行で非常に高い値がつけられており、その時点での採掘難易度と売却価格を検討するとBTCを採掘するよりもコストパフォーマンスが優れていることがわかったのです。Bitmain社が採掘に参加した理由は明白でした。

BitcoinCashとBTCの不都合な関係性

力を持つ主要なマイナーのほとんどは営利事業者であり、経済合理性に従って動いています。
BitcoinCashが投機的に買われ高い値がつくとマイナー達は一斉にBitcoinCashの採掘を始めます。その結果として急速にブロックが採掘されることになります。その間、彼らの所有するハッシュパワーはBTCから抜けていきます。結果としてBTCのブロック採掘速度は大幅に低下し、なかなか送金されないという状況に陥ってしまうのです。

日本の取引所の一部でもこれに対応するために送金手数料が引き上げられる対策が取られたため、記憶している方も多いでしょう。 このような現象は周期性をもって繰り返され、現在も続いています。結果としてBTCのネットワークは時々ハッシュパワー不足で送金遅延が発生する自体に見舞われます。

同時にBitcoinCashにも構造上のジレンマがあり、投機マネーが流入し一時的に価格が上昇してもすぐにマイナーが大量に採掘することでブロックが大量に生成されます。彼らは大量の採掘報酬を市場で売却するため価格は下落します。ブロックの採掘がBTCに対して大幅に先行した結果、全体として希釈していることもネガティブなインパクトを与えている要因の一つでしょう。
また、採掘難易度はすぐに上昇します。コストパフォーマンスは悪化し、マイナーはBitcoinCashに向けるハッシュパワーを絞ります。
すると再び採掘が遅々として進まなくなり、次回の難易度調整を待つしかない状況に陥るのです。

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BTC・BCHの採掘コストパフォーマンスの変動に注目

BTCに設定された1MBというブロック上限を拡張することでスケーラビリティ問題を解決するとしていたBitcoinCashでしたが、BitcoinCashには送金需要が少ないために生成されるブロックにトランザクションは非常に少ないものとなっています。結果として、1MBを上回るブロックはほとんど採掘されていません。どころか平均的には数十KBに満たず、ときには1KBにすら満たないブロックが生成されるという皮肉な状況が続いています。
通常、このように実需がほぼ存在しないコインにBTCに匹敵するような投機的な資金が流れることは考えにくく、現在の状況を論理的に説明するのは難しくなります。しかし暗号通貨のような未成熟な市場の場合は十分に合理的ではありません。また、当然政治的な駆け引きも存在するでしょう。
そのため価格・採掘難易度といったファクターが必要以上に複雑となり、そこに目をつけたマイナーの経済合理性に振り回された結果としてBTCとBitcoinCashの関係は完全に断ち切ることができず、時にその機能性まで蝕んでいます。これは市場の副作用と言えますが、現在もBTCの抱える問題の一つとして認識しておく必要はあるでしょう。

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9月現在の状況。様々なマイナーが存在します。

暗号通貨トレードを楽しむために

ところで最近の暗号通貨の傾向として、このような大イベントが定期的に訪れることに気がついたと思います。未だ黎明期であること、統制するような機構が存在しないなどが理由でしょうか。
最大の時価総額を持つ暗号通貨の王様BTCでは特に顕著ですが、このような事態に置いても不透明で断片的な情報ばかりが市場に流れてくるのが特徴です。
例えば今回取り上げたBitcoinCashにおいても、実はViaBTC自身すら首謀を濁す発表をしています。

ViaBTC Claims Neutrality Ahead of Bitcoin Cash’s Likely Launch

 

現代社会において、複数の企業が参画しているにも係わらずここまで不透明で主張が食い違う出来事は珍しいのではないでしょうか。
このような時、次々に流れてくる情報に右往左往していては消耗してしまいます。資産の増減とは無関係のところで精神的に疲労しては長期的に市場に残ることはできなくなります。

そこで僕は、発想を転換してみることをオススメしています。
情報が出て来るよりも先に、市場の主要なプレイヤーや利害関係者を洗い出します。そしてそれぞれの利益や力関係、できることできないことを整理していくのです。紙とペンを使っても良いでしょう。

そして各プレイヤーが合理的に行動した場合、また合理的に行動しなかった場合を考えて行動を予測し、その結果から自身の投機方針を決定してみます。
各プレイヤーの動きを予想する時の考えはゲーム理論によく合致することがあり、筋書きを分析する行為はよくできたミステリー小説を読む時の感覚に似ています。
その予想が当たればポジションは市場に大きく先行でき、結果として大きな利益に繋げることが可能になります。その楽しさ・喜びは二つとないものとなるでしょう。

直近のチャンスとして、10月から11月にかけてはSegwit2xの実現可能性・必要性を絡めてBitcoinCashに再びスポットライトが当たり、大きな動きとなる可能性があります。
このような大イベントでは政治劇を楽しむ、技術を追う、トレーディングで利益を得る、どのような形で参加してもきっとワクワクすることができるはずです。
これを読んでいるあなたが素敵な体験と大きな喜びを得られることを心から祈っています。一緒に暗号通貨を楽しみましょう!

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