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特別対談:ロジャー・ヴァー氏

In ビットコインニュース
7月 15, 2016
7月 15, 2016
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今日はお二人にはビットコインの未来を語ってもらおうと思います! まずは自己紹介からお願いできますか?

加納裕三氏(以下、加納)加納裕三です。bitFlyer(ビットフライヤー)の代表取締役であり、日本ブロックチェーン協会(対談時は日本価値記録事業者協会。4月15日に改組。以後“JBA”)の代表理事でもあります。日本における仮想通貨の普及のため活動しており、取引所、販売所の運営を行っています。最近はブロックチェーン技術の提供にも力を入れています。

ロジャー・ヴァー氏(以下、ロジャー)ロジャー・ヴァーです。ビットコイン関連のベンチャー企業に投資した最初の投資家で、現在はbitcoin.comというサイトの運営をしています。

ありがとうございました。では最初の質問です。
お二人は一年後のビットコインを取り巻く環境がどのようになっているとお考えですか?

加納ビットコインは世界中で成長していると思います。ユーザー数の増加ペースはゆっくりではありますが、人々がビットコインを認め始め、決済方法として使い始めている動きも見られます。また日本では、近いうちに「仮想通貨法」が可決されると考えられ、この法案も受けて、仮想通貨というのは悪いものではなくとても便利なものだと日本の皆様に認知されるようになることを祈っています。

ロジャー我々がこうして話している2016年4月時点でビットコインは一種の「成長痛」を経験しています。多くの人たちがビットコインがどのように普及していくべきか議論しているのです。これは 世界中の多くの人々がビットコインを使い始め、世界中で認知された結果です。もし誰もビットコインを使っていなければ、こんな議論は起きません。
多くの人、多くの企業がビットコインに関わるようになってきており、この業界の盛り上がりにはとても興奮しています。私と加納さんが知り合った数年前のビットコインを取り巻く環境は今と比べて全く違っています。本当にたくさんのことが起きましたよね。

日本でビットコインに関する法律ができれば、世界で初めての「ビットコイン法」になりますね!(※ 取材後2016年5月25日に仮想通貨法成立)

加納そうですね、日本でこの法案が可決されれば、仮想通貨に関する法案を作ろうという機運が世界中で高まると思います。JBAでも、世界の各地域での仮想通貨関連の事業者団体とつながり、世界中で法律の立案活動を支援していく、という話は出てきています。政府と対話し「仮想通貨法」の立案を支援した経験があるのは全世界で私たちJBAだけだからです。私個人としては全世界で仮想通貨に関する法律ができ、本人確認やアンチマネーロンダリングに関する同一の基準があればよいなと考えています。

ロジャー法案が可決されれば、日本では確実にビットコインの認知度は高まっていきますね!
ビットコインが拡がると、一つの共通の決済方法、通貨を地球上のすべての人が使えることになるので、とてもワクワクしますね! インターネットがコミュニケーションの面で世界を一つにしたのと同じように、ビットコインは経済の面で世界を一つにできます。

ありがとうございました。ビットコイン界隈では、7月に来ると言われている「半減期」について多くの人が気になっていると思います。お二人は「半減期」はビットコイン価格、ビットコインを取り巻く環境にどのような影響を与えると思いますか?

加納私はもう市場価格には「織り込み済み」なので、理論的にはビットコイン価格には影響がないと思っていますが、前回の半減期のタイミングでビットコイン価格が上がったため、今回も価格が上がると考えている人が多いですね。
かかる電気代は一緒で収入が減るというインパクトがあるので、マイニング(採掘)をやめるマイナー(採掘者)が出てくることはリスクで、この影響でビットコイン価格が変動するかもしれません。でも多くの人がビットコイン価格が上がると思っているので、やはり多少は上がるかもしれませんね。

ロジャーまず、私はもっと多くの人がビットコインを使うようになることをいつも期待しています。決済方法として世界中で使え、とても便利だからです。日本国外では、スターバックスではビットコインで決済すれば25%のディスカウントを受けられます。数百万人のスターバックスユーザーが全員ビットコインを使えばいいのに!
Purse.ioも、ビットコインを使うことでアマゾンでの買い物でディスカウントを受けることができるサービスです。みんながこういったことに気付いたら、ビットコインを普段の生活の中で使いたくなるでしょう。
私はこういった需要の観点からビットコイン価格は上がると期待していますが、半減期においては更にビットコイン価格が上がると思っています。単純に文字通り一晩で供給スピードが半分になりますからね。

「ビットコインのスケーラビリティ」の問題についてはどうお考えですか? どのような問題点があり、どのように対処されるでしょうか。

ロジャースケーラビリティの問題があって、これに関する議論が白熱しているという事実がビットコインをどれだけの多くの人々が使っているかを示していますよね。これも先ほどと同じで、もしも誰もビットコインを使っていなかったら問題にはならなかったでしょう。問題になるのは多くの人が使っているからです。

加納コアvsクラシックの議論ですね、どちらがよいかというのは難しい問題です。いずれの考え方もよい面も悪い面もあります。利用者にとってもマイナーにとっても良いような解決法を考える必要があります。

ロジャー私が理解している限りはマイナーも大きいブロックサイズを希望しています。結構前からマイナーは8メガバイトのブロックを長い間支持していて、ブロックがリリースされる度にブロックのメモにそのように書いています。唯一問題なのは、マイナーは現在のビットコインコアディベロッパーチームに大きいブロックのためのコードを書いて欲しいのですが、現在のビットコインのコアディベロッパーチームは何らかの理由で書きたくないということです。面白いポリティクスがあるのだと思います。

ビットコインを決済方法の主流にしていくにあたって、どのようなハードルがありますか? 何があれば日本においてビットコインが決済手段としてメジャーになるでしょう。

加納日本においては、Suicaや他の便利な支払い方法があるので決済方法としてメジャーになるのは難しいと思っています。この話になると、利用者にとってSuicaより便利な点はどこかという、答えるのが難しい質問が出てきます。しかし店舗側は決済手段に対して高い手数料を払っているので、これをビットコインに置き換えると手数料を安くできるというメリットはありますね。

ロジャービットコインでSuicaをチャージできるようになったらどうでしょうか。みんな喜びますよ!少なくとも私と私の友達は大喜びです!

加納フェリカを含めたNFC等に限定していくと、もしかしたら可能かもしれません。

ロジャーそれは是非考え始めて欲しいです! もしできたら、ビットコインはSuicaを受け付けるすべての店舗で使えるようになり、ビットコイン利用者にとってとても便利になります。ビットコインでSuicaをチャージすることができる!一利用者からのリクエストですが、私と私の友達にとってはとても嬉しいことです。

加納そうですね! やらなくては。

ロジャーマーク・カルプレスの真似をする必要はないけど、彼が過去この件に取り組んでいたと聞いたこともありますよ!私は良い考えだと思います。

今のは店舗での決済の話ですが、eコマースにおけるビットコインの普及を高めるためどのようなことができると考えていますか?重大な障害等はありますか?

加納「鶏と卵」の問題で、大きなe-コマースサイトがビットコインを支払い手段とするためには多くの人がビットコインを使っていることが必要なのですが、ビットコインを使用できる主要なeコマースサイトがないのでビットコインを使う人が増えません。これが現状です。

ロジャーロジャーまさに「鶏と卵」の問題ですね。また、問題なのは、街を歩いている多くの人は「ビットコイン」と言えば破綻した「Mt.Gox」のイメージを持っていることです。この部屋にいる私たちはMt.Goxはビットコインを取り扱っていた一企業にすぎず、ビットコインを取り扱っている会社は全世界中で数万あり、これらの会社は今日も問題なく業務を行っていることを分かっています。ビットコインについてはこういった「啓蒙活動」が必要であり、この対談を見てより多くの人がこのことに気づいてくれるといいなと思います。

ビットコインから離れ、アルトコインについてお話を聞かせてください。アルトコインについてはどう思われますか? 今後数年間の方向性はどうでしょうか? 今興味を持っているコインはありますか?

加納イーサリアムは日本でもとても人気があります。我々も近々イーサリアムの取引所サービスをリリースする予定です(4月15日にイーサリアム取引所サービスをリリース済み)。一方、他の通貨が一般化するのにはもっと時間がかかると思っています。
少々問題はあるものの、ビットコインは仮想通貨界の王様です。厳密にはビットコインより良い通貨もあるのですが、ビットコインが最初の仮想通貨なので皆ビットコインを使っています。もしお客様から他のアルトコインを取引したいという声があれば、導入を検討していきます。

ロジャー加納さんがおっしゃるように現在ビットコインというのは仮想通貨の中の王様だと思います。しかし、昔はMyspaceがSNSの王様だったということを思えば、必ずしもビットコインがずっと「王様」であるとは限りません。ビットコインの開発者はビットコインが利便性、信用性、技術面等において他のコインに対して優位性を保てるように努力していますけどね。
もしも誰かがもっと良いコインを発明した場合は、我々がより良いものを使えるようになるということなので、世界にとっていいことですね。我々のようにビットコインを保有している人間にはちょっと悲しいことですが……。

最近気になる特定のアルトコインはありますか?

ロジャービットコインの一番の弱点はプライバシーレベルだと思います。プライバシーがコアプロトコルにもっと組み込まれていればよかったと思います。最近私はZ-cashに投資しました。Z-cashでは自分の取引しか見れないのですが、 二重支払いが起きないようになっています。プロトコルレベルで数学的には100%匿名の暗号通貨で、普及すればビットコインよりも良いお金の形になりえると思っています。

銀行業界ではブロックチェーンがちょっとしたブームです。大きな金融機関も興味を示しています。このことについてどう思われますか? そしてブロックチェーンは既存の金融業界を本当に変えると思いますか?

ロジャー二つ目の質問、「ブロックチェーンは既存の金融業界を本当に変えるのか」についてですが、もちろん「イエス」です。ブロックチェーンは金融機関が行う業務の全てを変えられますし、それに気が付いた銀行等は今急ピッチでビジネスに導入しようとしているのだと思います。
ただし、一点忘れてはならないのは最も安全で信用できるブロックチェーンはビットコインのブロックチェーンであるということだと思います。なので、多業種の会社がビットコインのブロックチェーンの応用可能性に興奮しているということだと思います。

加納同意見です。ブロックチェーン技術は金融の世界を確実に変えるでしょう。システムの保守と開発の費用を削減でき、またシステムが絶対にダウンしないというのはとても革新的なことだと思います。

ロジャーシステムがダウンしない、それだけでもすごいことですね。

加納その通りです。

ロジャー「システムがダウンしない」というだけでも十分革命的で、全てのシステムを変えると思っています。

加納ブロックチェーンは「トランズアクショナル」なビジネスに合っていると思います。なので、金融にはフィットします。保険業や不動産業、政府機関のオペレーション等とも相性がいいですね。相性が良くないのは例えば飛行機操縦等です。情報の即時性が求められ、かつ「トランズアクション」ではない飛行機の操縦にブロックチェーンは使われるべきではありません。
しかし「トランズアクション」を取り扱うビジネスであればすべて現行のシステムをブロックチェーンに変えることができます。金融には限りません。SNSや交通渋滞の記録、高速料金のシステム、こういったものには全てブロックチェーンが使えると思います。

ロジャー何がオリジナルで何がコピーかが分かるようになります。裁判の記録等、何か「オリジナル」か判別できることが重要となるものの管理に向いています。
オンライン上で誰かが、ビットコインのブロックチェーンは「記録される時代」の真の幕開けと言っていました。その通りだと思っています。昔活版印刷ができる前には人々は本を書いていましたがその本が無くなれば内容が書き換えられ、元々の内容が忘れられることもありました。一方、ブロックチェーンに何かが書かれたらインターネットが終わるときまで同じ内容のままそこにデータはあります。「インターネットの終わり」はまだまだ来ないでしょう。なので、ブロックチェーンは「記録される時代」の真の幕開けなのです。

今興味があるブロックチェーンに関するプロジェクトはありますか?

加納まずR3Cev、これは政治的な観点からも成功しそうです。あとLinux FoundationやRippleやSWIFTも。まだすべて実験段階ではありますが、これからブロックチェーンのイノベーションが起きるといいなと思っています。

ロジャー私はbitcoinhivemind.comに強い興味を持っています。いわゆる「予測市場」で知恵を出し合い、自分の予想をしたところにお金を入れる、というものです。これはほとんど将来が見えるタイムマシーンの窓みたいなもので、人類にとってとても役に立つと思います。未来を見るのみならず、未来をコントロールしたり未来で起きることに手を加えることもできると思います。なんて面白くパワフルな道具なのでしょうか。

ロジャーに今までのビットコイン界隈での経験をもとに聞きたいのですが、ビットコインの将来はどうなっているとお考えですか?bitFlyerに何かアドバイスはありますか?

ロジャーbitFlyerへのアドバイスですか? 日本の市場は他と違うので、正直良いアドバイスはないのですが、ユーザーが何を欲しているかを聞き、ユーザーが欲していてそのためにお金を払ってもいいと思うサービスを提供することです。これはbitFlyerに関わらず全ての事業においてそうですが。

加納今はそれがNFC?

ロジャーもしも、bitFlyerのアカウントにログインしてSuicaのピンコードを入力するだけでSuicaをチャージできたら、私はbitFlyerアカウントを作りますし私の友達も皆bitFlyerでアカウントを作りますね!これができるのであれば日本のビットコインユーザーは皆bitFlyerでアカウントを作るでしょう。

加納アドバイスありがとうございます。

ロジャーいえいえ。

ロジャーさん、そろそろ対談も終了ですが、今現在どういったことに取り組まれているのかお話しいただけますか?

ロジャー今はbitcoin.comに精力を注いでいます。初めてビットコインについて調べる人にとっての良いポータルサイトにしようとしています。メディア等でビットコインのことを聞いてこのウェブに来るほとんどの人々はその時点ではビットコインのことをほとんど知らず、ビットコインというのはどこかの会社が発行しているコインだと思い「bitcoin.com」というサイトがその会社によるオフィシャルなサイトだと思ってしまいます。でもそういう人たちにとっての最適な場所にするため頑張っています。

加納bitFlyerとしてはもっとアルトコインを提供しようと思います。また、決済方法も増やすかもしれません。直近コンビニでの支払いや24時間営業のネット銀行の支払いをリリースしました。もっといろんな方法での決済方法を提供すべきだと思っています。

ロジャーコンビニからbitFlyerのアカウントに入金できるということですか?

加納そうです。
JBAとしては、消費税の件を働きかけねばなりません。ビットコインを買う際に消費税8%を払わないといけないというのは日本での大きな問題です。また、仮想通貨法の詳細を今後検討していく必要もあります。

終わる前に、何かコメントはありますか?

ロジャーこの対談を読んでいるあなたはもう既にビットコインのファンであり、ビットコインに興味があるかもしれませんが、あなたの兄弟や友達はそうではありません。なので、同僚や家族、みんなにビットコインについて知っていることを伝えてください。そしてなぜビットコインが便利で世界にとって良いものなのかを説明し、ビットコインの世界に巻き込んでください。
公式のビットコインの会社はないので、ビットコインを世界に広げ 、人々にこの技術がいかに素晴らしいかを伝えるのは私たちの役目です。ですから、友達や家族に是非ビットコインのことを話してください。

加納日本においては多くの人が「ビットコイン」に悪いイメージを持っています、Mt.Goxの事件はビットコインの問題ではなく一企業問題であるということを再度強調したいです。ビットコインのセキュリティー自体は安全です。是非ビットコインを使ってみてください。日本国外でも使えます。電化製品を買え、コーヒーも買えます。ビットコインを使い始めましょう! Suicaは国外では使えません。

ロジャービットコインは世界中で使えます!

加納はい。

今日はお時間本当にありがとうございました。

加納ロジャーありがとうございました。

ロジャー・ヴァー&加納裕三
プロフィール
  • Rogerロジャー Verヴァー

    別名ビットコインジーザスとしても知られるビットコインエヴァンジェリスト。
    Bitcoin.com, Blockchain, BitPayなどのビットコインスタートアップの投資家である。インターナショナルなビットコイントッププレイヤーであるが、都内に在住し日本でのビットコイン普及にも務めている。東京ビットコイン会議という国内最大のビットコインミートアップのオーガナイザーでもある。
    Twitter: @rogerkver

  • 加納裕三氏

    株式会社bitFlyer代表取締役。
    東京大学大学院工学系研究科修了。ゴールドマン・サックス証券にてエンジニアとして自社決済システムの開発を行う。BNPパリバ証券を経て、2007年よりゴールドマン・サックス証券に再入社し、デリバティブ・転換社債トレーダーとして機関投資家向けマーケットメイク、自己資産運用や企業の資金調達を行う。2014年1月に株式会社bitFlyerを共同設立。日本ブロックチェーン協会(JBA)の代表理事。

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