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特別対談:大石哲之氏(2)

In ビットコインニュース
7月 15, 2016
7月 15, 2016
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注目のビットコイン2.0プロジェクトは?

米NYSEや国内外大手金融機関から注目を集めているブロックチェーン及びBitcoin2.0。二人の注目するBitcoin2.0のプロジェクトとは、またその応用例等について伺った。

お二方が注目している2.0のプロジェクトについて
  • 今注目しているBitcoin2.0のプロジェクトは?
  • なぜそのプロジェクトに注目していますか?
  • そのBitcoin2.0プロジェクトの懸念点はありますか?

加納前大石さんと飲んだときにちょっと喋っちゃったんですけど、僕はエニグマです。

大石エニグマですか。おおー。

加納過去に出てきた2.0っていうのはブロックチェーンの応用感はあったんですけれども、エニグマは更に大きな飛躍があった気がしていて、もともとあったんでしょうけど僕は知らなかっただけですと。これ2.5から3.0くらいまでいってるんじゃないかっていう。前回のデジガレのイベントでJoi Itoさんが来た時にエニグマのこと全く話さなくて残念だなっていう。

大石そうですね。話題を振ろうかと思ったんですけど、あまりにマニアックになっちゃうから。

加納せっかくMITメディアラボの所長が来ているのに。

大石確かにああいう研究がどんどん進んでくれると。かなり僕も衝撃的でした。ブロックチェーンを知ったとき以来の衝撃ですと。衝撃が3つあって、最初ブロックチェーンそのもの。次がイーサリアムで、ブロックチェーンでチューリング完全なものが動くことができる。これが本当動けば相当面白いと思って。で3つめの衝撃はやっぱりエニグマですね、と。

加納まぁエニグマですよね。加算と乗算が暗号化した状態でできると。ある数字があって暗号化して。1を暗号化したもの、15を暗号化したもの、それぞれを足すと11を暗号化したものになるんですよね。

大石そうですね。

加納これができると、何でもできます。そもそも文字はアスキーコードなので文字の連結とかも当然できますと、で加算と乗算、加算ができればどんな演算もできるので、時間がどれだけかかるかは別として。理論上は暗号化した状態でいろんな操作ができるというかプログラムが書けますと。これは世の中変わるなと。

大石すごいですよね。私もちょっと調べたんですけど、もともとクラウドコンピューティングの世界で少し前からそういう応用は提案されていました。要するにクラウドの計算機みたいなのに暗号化したまま処理を委託するという発想ですね。今だとクラウドのところに処理を依頼したら、秘密の情報も全部向こうにばれて何を処理しているか分かってしまいます。でも暗号化したまま処理をして結果だけを手に入れて計算処理ができれば、クラウド側は何をやっているのかわからないという状態ができます。エニグマではさらにブロックチェーンの証明性と組み合わせることで、よりいろんなことができるという感じですね。

衝撃的だったのはエニグマで安全に秘密鍵を預けるバンクができるということです。全自動で動くブロックチェーン上のバンクです。現時点では夢物語ですが、すごいおもしろいなと。そういう技術的な展望みたいなのが見えると社会の方向性みたいなのが見えてきます。

加納応用例として、思いつきですけど例えばクレジットカード情報とかはクレジットカード会社がビッグデータとして持っていて非常に重要なデータとして保管していると思うんですけれども、消費者としてそういうのが取られているというのを気持ちよくないと思う人もいて、そういうのはじゃあ暗号化して渡しちゃえばいいと、でも計算できますねと。ありとあらゆるものが暗号化した状態で処理されるので、データを保管する責任をもっている会社もしくは個人っていうのと、なにか処理をする、プロセスをするっていうところに大きく別れるんじゃないかなと思っています。今まではデータ保管とプロセッシングというのは一緒の会社がやっていて、情報を全て内側で持っているような世界観がほとんどなんですけれども、これが本当に変わる。例えば、計算能力がどれだけあるのかわからないですけれども、写真でもいいし、写真も色んな所にアップロードするときにやっぱり若干気持ち悪いです。家族の写真であったり、いろんなプライベートな情報をクラウドに乗っけてはいるので、本当に大丈夫かなと思う。例えばメッセージ、チャット、アプリでチャットをやるときに本当に会社は何も見ていないのかな、とか。いろんな問題がエニグマで解決できるんじゃないかなって想像してわくわくしています。

大石例えば今、個人のDNAの解析をする会社さんがあります。あれもDNAの情報渡しちゃって、色々とプライバシーを気にしているっていっているけれども、何千人っていう人の究極の個人情報がデータベースに溜まってると、これが漏れたりしたら非常に問題ですよね。例えばそのDNAの情報を預けるんだけれど、暗号化したまま預けて、彼らは暗号化したまま処理した統計情報が取れると、例えば日本人の中でこういう遺伝子の変異がある比率が何%ですと、それがどこの国とどのくらい違うのかとか、そういった統計情報にして、統計結果は使えるけれども、ひとつひとつのDNAがどうなっているかというのはわからないと。そういうふうな処理ができます。これはさっきおっしゃっていたようにデータとプロセッシングを分けるっていうのができるので非常におもしろいですねと。

加納他の2.0にも触れましょうか。最近ブロックストリームでしたっけ。

大石ブロックストリーム、サイドチェーンですね。

加納サイドチェーンですね。TWO WAY PEGの。

大石僕はビットコインにおける最大のブレイクスルーはサイドチェーンだと思っています。今までいろいろ2.0でアセットが作れますとかコインが作れますとか、ブロックタイムが早いアルトコインだとか、コントラクトができますとか、いろいろな機能拡張をそれぞれのコインがやっていたとおもうんですが、サイドチェーンを使うことによって、それらの機能のほとんど全て実現できて、しかもビットコインと行き来できるような形でできるので画期的です。

加納ブロックストリームの人とも話したんですけれども、仕組みとしてはサイドチェーンでいいんですが、やっぱり事業者としての一番の懸念点っていうのは法的にどうなっているか。取引の相手が誰で、それがどこの国の法律に従って、っていうところがやっぱり解決されていません。多くのビットコインの会社というのはたいていの場合技術ドリブンになっていて、それはそれでおもしろいんですが。じゃあ本当に利用できる、利用者が安心して利用できて、国も文句言いません。で、おもしろいです。っていうところまでがひとつのシステムだと思っています。単純にテクノロジーのレイヤーだけを改変していくっていうのはそんなに実は僕は難しいことだと思っていなくて、例えばエニグマとかすごいなぁと思ってるんですけれども、たいていの技術のレイヤーっていうのはそんなになにかすごいことって起こっていない気がしています。ただ、それをちゃんと社会と結びつけるっていうところに僕はすごく注目していて、そこが大石さんと僕が見ているところが違うところだと思います。そこまで含めて社会システムとして動くんじゃないかなって、サービス提供者なので、当然消費者保護とかそういうところまで考えてやるっていうのがあって。一方で技術の目新しさだけでいうと、いろんなものを導入したいなと思ったり、いろんな人が営業に来たりはするものの、ほとんどの場合法的枠組みがクリアできない。というのが現状としてはあります。

大石なるほど。

「プルーフ・オブ・バーンについて」

加納ある程度小さい会社でいろいろやってみて、固いこと言うなよっていうのは気持ちはわからなくもないんですが、我々のように法人作ってちゃんと事業としてやっていると結局うちも弁護士に聞いてっていう作業が発生して、そこが一番時間使っているところなのかなって気がしています。

あと、2.0だと、プルーフ・オブ・バーンってどうなると思いますか。

大石プルーフ・オブ・バーンですか。

加納あれって、僕よく分からないのが、ビットコイン燃やしますと、でXCPでしたっけ?

大石カウンターパーティのコインのXCPですね。プルーフ・オブ・バーンで発行されました。

加納で、燃やした分だけ新たな価値が想像できますと。それはわかります。でも燃やした以上の価値が想像されているように思えるんですよ。これって実はフェアバリューじゃないなって思っていて、会社で言うと株式を消却した以上に株価が上がってるみたいな状況にはなっているので、なんでそれが起こるんだろうってところと実は何か見逃している要素があるのかなっていう。

大石カウンターパーティの場合は、彼ら完全非営利でやりたくて、お金を受けとりたくなかったんですよ。ビットコインを受け取って、カウンターパーティを発行して、売るってことをするとお金が入るので。バーンの場合、バーンしたBTCは使えなくなってしまうので、そこで誰かが得したとかお金がどこにいったとか、そういう問題がなくなると。そういうふうに理解しています。例えばバーンはコインをそのまま移行するときに使えるのかなって思います。仮にもしビットコインに非常に深刻な問題が起きて、ニュービットコインに移行するって場合はビットコインをバーンするとニューコインがもらえるとか。そいうのが一番簡単な移行の仕方ではあると。

ちょっと、バーンを考えたんですけど、デジタルJPYを発行するときどういう方法がいいかなって思っていて、ひとつはリザーブするということですね。一万円をどっかにリザーブして同じ価値のデジタルJPYを発行する。払い戻しは、発行体がそれを保証しますと。もう一個はビットシェアーズとか、売り買いのそれによって事実上円にペッグしている状態を作りだす方法。3つ目の方法としてはバーンで、ここでYOUTUBEかなんかでみんなの前で一万円を燃やすと、燃やして全員が燃えたって言うことがわかると発行されるっていう。そういう通貨があると、そうすると手に入れるには燃やさないといけないっていう、そういうのもありかなって思っていて。

加納円の場合は上限が決まっていないので、燃やしても本当に燃やした分だけ、実際には日銀の現預金、当座預金というところがベースとなって日本円というのは預金等々で流通しているわけですけれども。これはかなりおもしろい発想で、じゃあベースマネー燃やしたら、それと同じだけの通貨を出していいのかと。これってすでに、僕はその日銀の当座預金、現金から始まっている日本円の流通システムですけれども、銀行預金のところで既にもうバーチャルカレンシーになっていると考えることができて、そうなるとこれが、もう新円なわけですね。まさにバーチャル通貨である銀行預金なわけですよ。たまたま円と呼んでいるけれども。っていう考え方もあるのかなと。じゃあ、実際にその、日銀のその現預金が減ったら、当然在庫の数は減りますよね。1紙幣あたりの価値は上がると思っています。これがまさに中央銀行がやっているような金融政策に近いのかなと。っていう意味ではもう既に円はバーチャルカレンシーですと言えないかなぁと思っています。別の観点から考えると、実際ユニークなキーがついてるじゃないですか、紙幣って。印刷番号が。これを流通の過程で全て管理し、私はこの番号ABC000・・・を持っていて、これを燃やしたことを必ず証明できるというのであれば、また新たなコインを発行してもいいような気がしています。

大石確かに、そうですよね。おっしゃるように日本円がバーチャルマネーだっていうのは本当にそうで、単に管理の仕組みが違うだけであれも結局日銀と銀行のネットワークの中で勘定をグルグルグルってやってるだけで数字しか動いてませんと。究極的に言うと日銀の当座勘定をやっている日銀コンピューターで数字を入れ替えているだけで全てのお金が動いていると。日本中でお金がやりとりされていると言っているけれども、最終的には日銀の数字が動いているだけで、なんかひとつのコンピューターだけで数字が動いているだけですと。そこら辺の仕組みは知っている人は少ないと思うんですけれども、仕組み的に考えるとばかばかしい仕組みですねと。ビットコインどころじゃないですよ。だって、一企業である日銀のコンピュータ内で数字動かしているだけです。それで日本円の決済がなりたってるんですよ。ビットコインよりはるかにびっくりしましたね。なんかなんてスマートじゃない仕組みというか、なんていうんですかね、世の中で価値があると思われているお金がこんな仕組みで動いているんだと。衝撃を受けましたよ。国際金融も言ってみればそれの拡張版です。各国の中央銀行の中で動かしているだけです。

加納金融機関に勤めていた者としてはちょっと。仕組みとしてはそんなに大差ないという、法的な強制通用力とかいろいろ細かいところの差異はあるにしても、本当に電子マネーがあって、現金がなくなっていく世界になるとじゃあ、ビットコインとの違いってなんだろうというのはまぁあります。

大石あとは2.0で言うと、イーサリアムが今月中にリリースされます(※)。サイドチェーンとかいろいろあると思うんですけど、お金以外の処理ってビットコインの中には入れにくい部分があるので、お金以外のところで2.0としてどのくらい動くかっていうので注目しています。イーサリアムはおそらく、お金ではない部分を担うブロックチェーンとして、スマートキーなどのIoTや、投票や分配やガバナンス、記録の保持、SCMのトラッキングなど、幅広く応用性の可能性があり、重要な社会基盤になると考えています。

※ この対談は2015年7月に行われたものです。

左:大石哲之氏、右:加納裕三氏

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